「画家に限らず、全て何かの発展を期そうとする仕事に携わる者には、過去の歴史に対する十分な認識が必要なのはいうまでもない。逆に、その認識の上に己れのなすべき道を見いだしていくのでなければ真の発展はのぞめない。最新の研究、データが重要なのはいうまでもないが、われわれは過去の人々のなした仕事、そしてそこに看取される思想の中に、時間を経た今日でも常に新しさを失わない問題提起に往々にして出会うのである。本展は、画家という視覚芸術の発展に従事した人々のみを取り上げたが、このささやかな企画が、歴史に何を学ぶかという、この古くて新しい問題を今一度考え直す機会になれば望外のしあわせである」

関根浩子「各説 明治前中期の宝物調査と古画模写事業」(『春草没後80周年記念 天心傘下の巨匠たち ー初期作品を中心としてー』展覧会図録所収、飯田市美術博物館、1991年)

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