線の重大性

「線としていいものは、画面に独立して、飛び離れた存在となっているものではないと思う。画面に独立して目立つようなのは、いい線ではないのではあるまいか。何んだかいい絵と称するものの線は、みんなそんな気がする。現われたものの中へ総ての線が溶けこんでいなければならないものではないか。
然しそれは線ばかりではない。色とても同様であって、色も絵具で見えて来てはいけないと同じで、線もそれと同じでなければならぬ。」

小林古径「東洋画の線」『美術新論』八-三所収、1933年3月

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