横山操
「このごろよ、富士山なんかやめてくれという画商も出てきたね。だけど、そういうのに限って本当は富士山欲しいんだ。ぼくは全部知ってて、知らない顔をするのさ。(笑)私は高邁なものを知っているといった顔をして、赤富士なんて俗なものは描くな、と怒る画商もいるけど、冗談じゃないんだね。そのくせ、内心ではもうかったと喜んでいるんだからね。素直にいえばいいんですよ。ぼくは芸術っていったら、大衆から隔絶されたものだと考えたくないし、いま一番芸術の悲嘆さは、大衆と隔絶したところだと思うんですよ。もっと大衆と芸術という観念を近づけたい、とまあいろんなことを考えたり、いろんなことをしているけど、もう少し見ていて下さい。やりますから」

『秀作美術』(1972年2月号)より部分抜粋

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