今村紫江は常々「日本画がこんなに固まってしまったんでは仕方ありゃあしない。とにかく破壊するんだ。出来上がってしまったものは、どうしても一度打ち壊さなくちゃ駄目だ。そうすると誰かが又建設するだろう。僕は壊すから君達、建設してくれ給え。」「徳川以降の絵はひどく堕落している。何と言っても建設より破壊が先だ。」「暢気に描け。芸術に理窟はいらない。何事にも拘束されず、自由に、快活に自己の絵を描け」と仲間たちに語っていた。日本画の因習を壊そうとし、主題、構図、彩色など絵画の全ての面で自由な創意による新しい日本画への改革こそ、紫江の生涯をかけた命題であった。

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