財布をなくした。カバンのなかをひっくり返したり、アウターのポケットも確認したが見つからなかった。足の踏み場を失ったゴミ屋敷を捜索するも、あまりの部屋の汚さに20分もすると飽きてしまった。様々なカードと現金が詰まった長財布の行方が分からなくなり、最初は酷く狼狽えた。そのうち諦念の感情に支配され、全てがどうでもよくなった。幸いにも、我が家にはまだコメと飲料水が確保されている状態だったのだ。何もなければなり振り構っていられなかっただろう。しかし、なくても生活できる最低限の資源を発掘してしまったのだ。なんて適当な自分

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